産後の抜け毛はいつまで?原因と育児中のママもできる対策を紹介

産後、抜け毛の症状に悩む女性は少なくありません。

産後の脱毛は「分娩後脱毛症」や「産後脱毛症」といわれており、多くの女性が経験するものです。今回は産後の脱毛症状について、原因や対策、症状が出る期間などを解説していきます。

産後の抜け毛はいつから始まっていつ終わる?

それまでなんともなかったのに、産後、急に始まる抜け毛の症状は、「いつまで続くの?」「まさかずっとこのまま?」と不安になる方も多いでしょう。

では、産後の抜け毛はいつごろから始まっていつごろにおさまるのでしょうか。

産後の脱毛は「分娩後脱毛症」や「産後脱毛症」ともいわれ、出産後の女性の8割以上にあらわれる脱毛症状です。

個人差はありますが一般的に産後2~3か月ごろから始まって、半年~1年程度でおさまることが多いといわれています。

症状が落ち着けば、毛量は戻ります。

ただ、髪質は変化することも少なくありません。

なぜ産後は抜け毛が増える?抜け毛の原因は

産後の抜け毛に悩む女性

では、産後に抜け毛が増えるのはなぜなのでしょうか。

ホルモンバランスの乱れ

髪の毛は伸びては抜け、伸びては抜けを繰り返しています。この生え換わりの周期をヘアサイクルと呼び、「成長期」「退行期」「休止期」に分かれます。

成長期…毛母細胞が分裂を繰り返し、髪が成長する

退行期…細胞の活動が弱まり、毛乳頭や毛母細胞の分裂スピードが落ちる

休止期…完全に髪の成長が止まり古い毛が抜け落ちる

そして女性ホルモンは「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の2種類があり、女性の月経周期に影響を与えています。

プロゲステロン(黄体ホルモン)…基礎体温を上げ、妊娠しやすい状態に整える

エストロゲン(卵胞ホルモン)…女性らしい体つきを作る、生殖器官を発育、維持させる、肌髪を健康に保つ

妊娠中は、どちらの分泌も盛んになります。

とくにエストロゲンは髪の成長期を伸ばす働きがあるので、妊娠中は本来抜ける時期にあるはずの毛が、抜けないといった状態になります。妊娠中におなかや手足の産毛が濃くなることがあるのはこのためです。

しかし産後、エストロゲンは急激に減少します。すると、抜けずにとどまっていた毛が一気に抜けて、ハリやツヤもなくなるわけです。

睡眠不足

産後は、どうしても赤ちゃん中心の生活になります。

深夜も授乳や夜泣きで数時間おきに起きなければならず、自身の睡眠時間が確保できなくなることが多いです。

睡眠中には、脳から健康的な髪の育成に重要な役割を果たす成長ホルモンが分泌されます。

睡眠不足に陥ると成長ホルモンが十分に分泌されず、抜け毛や薄毛につながります。

栄養不足

髪が育つには十分な栄養が必要です。

赤ちゃんにつきっきりの生活では、自分の食事をつい後回しにしてしまい、気がつけば食事の時間がなくなっていたというケースは少なくありません。

食事がおろそかになると栄養不良になり、髪のやせ細りや抜け毛、薄毛になるリスクが高まります。

また、産後はホルモンバランスの乱れや筋肉量の減少などの影響で基礎代謝が落ち、どうしても太りがちになってしまうものです。

このいわゆる産後太りを戻すためにダイエットをする方は多いですが、やり方には注意が必要です。

食事を過度に制限すると栄養が不足し、パサつきや抜け毛、薄毛の原因になります。

産後の抜け毛の対策は?

抜け毛の対策

「産後は抜け毛があるのが普通」と頭では理解していても、髪が抜けていくのはつらいものですよね。では産後の抜け毛を緩和させるためには、どんな対策が有用なのでしょうか。

睡眠をとる

睡眠が大事とは分かっていても、産後すぐのころはまとまった睡眠を確保できないことがほとんどでしょう。

その場合は、隙間時間に仮眠をとるだけでもずいぶん違います。

昼寝でもかまいません。

むしろ日中の仮眠は「パワーナップ」と呼ばれ、脳の疲労をクールダウンさせることが判明しています。

短時間寝ることによって

  • ストレス軽減
  • パフォーマンスの向上

といった効果が期待できます。

ポイントは30分以内にとどめることです。

それ以上寝てしまうと目覚めにくくなってしまいます。

ストレスを上手に解消

産後は環境変化が激しくストレスがたまりやすいものです。

ストレスがたまると自律神経が乱れたり、不眠になったりし、抜け毛が増える原因になります。

ストレス解消のために、

  • 軽い運動をする
  • テレビを見る
  • 音楽を聴く

など、毎日自分なりのストレス解消タイムを設けましょう。

ストレスと深く関係するのが「セロトニン」です。

セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、大脳に働きかけて覚醒の状態を調整する作用や

意欲を促す作用などがあることが分かっています。

セロトニンの分泌を促すには、たとえばセロトニンが体内で合成されるための栄養素を摂取することが重要です(詳しくは後述します)。

栄養バランスのよい食事

あらゆる細胞は食べたものから作られます。薄毛対策には摂取する栄養素が非常に重要です。なかでも髪の成長に有用な栄養素には以下のようなものがあります。

髪の主成分タンパク質

髪の毛の約9割がケラチンと呼ばれるタンパク質です。

タンパク質が足りないと、当然健康な髪の毛は育ちにくくなります。

タンパク質を多く含む食べ物

  • 肉類
  • 魚類

など

ケラチンについては、以下の記事をご参照ください

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健やかな髪をはぐくむ亜鉛や鉄分

亜鉛は、免疫機能や細胞代謝にかかわるミネラルです。ケラチンの合成に必要で、皮膚の成長を助ける作用があります。

鉄分は血行を促すミネラルです。不足すれば髪の成長に必要な栄養が頭皮に届きにくくなり、薄毛につながるおそれがあります。

亜鉛を多く含む食べ物

  • 牡蠣
  • 牛肉

など

鉄を多く含む食材

  • 牡蠣
  • 牛レバー

など

セロトニンを作るマグネシウムやビタミンB6

セロトニンがストレス状態に大きく影響することは前述のとおりです。

セロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから合成されます。

トリプトファンは体内合成されないので、食品から摂取しなければなりません。

そしてトリプトファンからセロトニンが合成されるときに欠かせないのが、

  • ビタミンB6
  • マグネシウム

などです。

ビタミンB6を多く含む食べ物

  • レバー
  • 酵母

など

マグネシウムを多く含む食材

  • 葉野菜
  • マメ科植物
  • ナッツ類

など

サプリで補給する方法も◎

とはいえ、ただでさえ忙しい産後ですから、毎食栄養を考えるのは負担に感じる場合もあるかもしれません。

その場合は、サプリで補給するのもおすすめです。

頭皮マッサージ

頭皮マッサージにより血行促進、毛穴詰まり解消、リラックス効果が得られます。

一部の研究では、頭皮マッサージにより頭皮の血流量が増え、髪の太さやハリ・コシが増加することが確認されています。

手軽にできる頭皮マッサージの方法を紹介します。

STEP1:リンパの流れを促進する

鎖骨、耳の前、アゴの下、脇の下などにあるリンパ節に向かって流すように手のひらを滑らせる

STEP2:頭皮全体を揉みほぐす

5本の指先で頭皮をつかみ、側頭部から頭頂部へ手で3回ほど円を描くようにして揉みほぐす

STEP3:頭頂部のツボを押す

両手指先で頭頂部のツボを3秒間押す

意識すべきツボ

・百会(ひゃくえ)…左右の耳と頭頂部を通って結ぶ線と顔の中心から頭頂部へ向かった線が交差する位置

期待できる効果:血行促進

・天柱(てんちゅう)…後頭部の髪の生え際くぼみから、指幅1本分外側

期待できる効果:自律神経を整える

・風池(ふうち)…天柱から頭蓋骨に沿って親指1本分と外側のくぼみ

期待できる効果:自律神経を整える

やりすぎには注意

ただし、やりすぎは禁物です。頭皮を傷め、逆効果になるリスクがあります。

まとめ

産後脱毛は多くの女性が経験するものですし、時期が来ればおさまります。深く悩むとそれがストレスとなり薄毛を悪化させてしまうかもしれません。

思いつめず、気楽に構えることが肝心です。ヘアスタイルを変えてみたりお洒落帽子にチャレンジしたりしてみてはいかがでしょうか。