湯シャンははげるって噂は本当?注意点や正しい湯シャン方法を知ろう

最近、シャンプーを使わない洗髪方法、いわゆる湯シャンがブームになっています。しかし「アトピーに効く」「抜け毛が減る」など効用が話題になる一方で「薄毛の原因になる」「はげる」といった情報もあります。 そこで今回は湯シャンがはげる原因になるのか、また正しい湯シャンの方法や注意点などを紹介します。湯シャンが向いている人、向いていない人についても解説していますので参考にしてください。

湯シャンではげるって噂は本当?

湯シャンとは、シャンプーなどの洗浄料を使わずにお湯だけで髪を洗うことです。髪や頭皮によいと、女性を中心に数年前から流行っています。しかしブームの一方で、薄毛の原因になるといった話も耳にします。

実際のところ湯シャンではげることはあるのでしょうか。

薄毛の原因になることもある

湯シャンは、肌質や体質によって向き不向きが分かれる洗髪方法です。そのため、ケースによっては薄毛の原因になることもあります。

また湯シャンは頭皮環境を整えることによる、間接的な薄毛対策はできますが、薄毛の進行そのものを食い止めることはできません。

そのため進行性の脱毛症の方が、なにも薄毛対策を講じることなく湯シャンをしていれば症状が悪化することはありえます。

湯シャンの効果・メリットとは

では、湯シャンすることでどのような効果を得られるのでしょうか。

頭皮の乾燥によるトラブル予防改善

皮脂に対して、取り除くべきものや悪いものという印象をもつ方も少なくありません。

ですが皮脂は肌にうるおいを与え、外部刺激から守る役割を担っているため、一定量は必要なものです。

ところが、洗浄力の強いシャンプーで洗うと必要な皮脂まで奪ってしまうことがあります。

すると頭皮が乾燥し、フケやかゆみなどの頭皮トラブルが起こりやすくなってしまうのです。

湯シャンだと皮脂を落とし過ぎる心配はなく、うるおいを残したまま洗髪できます。 そのため、頭皮の乾燥が主な原因となるフケやかゆみといったトラブルを予防・改善できるわけです。

正常な頭皮環境を保ち、抜け毛を予防改善

健康な髪の育成には正常な頭皮環境が欠かせません。

たとえば、頭皮が乾燥したり炎症を起こしたりすると、フケやそれによる毛穴詰まりを引き起こし、薄毛につながります。

洗浄力の強いシャンプーは、人によっては乾燥や炎症の原因になります。

とくに敏感肌・乾燥肌の人はシャンプーが刺激になりがちです。

頭皮への刺激をおさえながら洗える湯シャンなら、頭皮環境が悪化するのを防げます。

つまり間接的に抜け毛の予防・改善ができるのです。

アトピー性皮膚炎・発疹など肌トラブルの予防軽減

皮膚にはバリア機能が備わっていて、肌内部のうるおいを保つ、外部刺激から体内を守るなどの働きを担っています。

アトピー性皮膚炎や発疹、かゆみといった肌トラブルの原因のひとつと考えられているのが、バリア機能の低下です。

そしてバリア機能が十分に機能するためには水分と油分のバランスが重要になります。

その点、洗浄力の強いシャンプーで洗うと油分を奪いすぎてしまうことがあります。

結果的に水分と油分のバランスが崩れ、バリア機能が低下するリスクが高まります。 必要な皮脂は残したまま洗髪できる湯シャンであれば、バリア機能を正常に維持できるためこうした肌トラブルの予防・軽減が期待できます。

湯シャンのデメリット・注意点

湯シャンの注意点

さまざまなメリットがある湯シャンにも、気をつけなければならない点があります。デメリットと注意点を把握しておきましょう。

メリットを実感できるまでに時間を要する

湯シャンの効果は、基本的に頭皮環境の正常化によって得られるものです。

当然のことながら、頭皮環境が短期間で変化することはありません。湯シャンのメリットを実感できるようになるまでには、ある程度の時間がかかります。

脂性肌の人はベタつきや皮脂汚れが残ること

シャンプーに含まれる界面活性剤は悪いものと思われがちですが、一概に断定することはできません。

なぜなら、界面活性剤を使わなければ落とせない汚れもあるからです。

たとえば、メイク汚れや皮脂汚れは水だけでは落とすことはできません。

つまり皮脂が多い脂性肌の人は、湯シャンではベタつきや皮脂汚れが残る可能性があります。

ニオイがするようになる

湯シャンの最大の難点は、そう、ニオイです。

そもそも頭皮のニオイは汗と皮脂の混合臭といわれています。

汗や皮脂が分解・酸化することでニオイ物質が発生するのです。

たとえば皮脂常在菌のブドウ球菌が、汗に含まれる乳酸を分解するとニオイ物質”ジアセチル”が作られます。

ジアセチルはミドル脂臭の原因として知られ、発酵バターやヨーグルトのようなニオイをもちます。ミドル脂臭というと男性のものをイメージするかもしれませんが、女性でも作られる物質です。

皮脂に含まれる脂肪酸の”パルミトレイン酸”が酸化すると、ニオイ物質”ノネナール”が発生します。ノネナールは加齢臭の原因として有名な物質で、40代になると急増します。

その強烈な刺激臭は、廃油やブルーチーズのニオイに例えられます。

シャンプーを使わない湯シャンでは、こうしたニオイ原因物質が残りやすく、どうしても頭皮が臭いがちになってしまいます。

とくにノネナールは水に溶けにくい性質をもつので、湯シャンで落とすのは難しいです。

さらに更年期症状でほてりがある場合は頭に大量に汗をかくため、一層臭いやすいということになります。

湯シャンではげるのを防ぐための正しい手順

湯シャンが必ずしも薄毛の原因になるわけではないものの、間違ったやり方では薄毛を招きかねません。湯シャンではげないようにするための適切な方法や手順について紹介します。

ブラッシング

髪はきれいに見えても意外と汚れています。

先にブラシをかけて、頭皮や髪についた汚れを取り除くことが大切です。

注意点は無理に引っ張らないことです。スタイリング剤を使用している場合は、ブラシが引っかかることがあります。

そうした場合に強引にブラシをかけると、髪が抜けたり頭皮を傷めたりする可能性があります。

丁寧に力を入れず洗う

湯シャンではげるのを防ぐには、汚れをきちんと落とし、かつ必要な皮脂を残すことが求められます。

そのための目安が「ぬるま湯(38度~40度)で3分」です。

ポイントは指の腹を使って優しく洗うことです。

湯シャンはシャンプーを使わない分摩擦も大きくなり、頭皮を傷めやすいので洗髪ブラシは使わないようにしましょう。

ただ、どうしても指だけでは汚れを落とすのが難しいこともあるかもしれません。その場合、湯シャン専用のブラシを使うのがおすすめです。

乾かす

濡れた状態が続くと雑菌が増殖し薄毛につながりますので、早めに乾かしましょう。

タオルドライでしっかり水分を取り除き、髪や頭皮にダメージを与えるドライヤーの時間を短縮することが大切です。

湯シャンが向いている人・向いていない人

湯シャンは向き不向きが分かれる洗髪方法です。ここまでの解説から、湯シャンはどんな人に向いていてどんな人に向いていないのかをまとめてみましょう。

向いている人

湯シャンが向いている人は次のような人です。

アレルギー体質の人

アトピー性皮膚炎やかゆみなどのアレルギー症状は、肌の水分と油分のバランスが崩れると悪化すると考えられています。

洗浄力の強いシャンプーだと必要な皮脂まで奪ってしまい、アレルギー症状が悪化する可能性も否めません。

皮脂を適度に残して洗髪できる湯シャンは、アトピー性皮膚炎やかゆみの予防・軽減につながることも期待できます。

頭皮トラブルが多い人

フケやかゆみといった頭皮トラブルが多い人は、シャンプーが刺激になり頭皮環境が悪化している可能性があります。 頭皮をいたわりながら洗える湯シャンなら頭皮環境が悪化するリスクは低く、フケやかゆみなどの頭皮トラブルの予防・軽減が期待できます。

敏感肌・乾燥肌の人

肌が過敏な人はシャンプーの界面活性剤が刺激となりやすいです。

また皮脂量が少ない乾燥肌の人は、シャンプーで洗いすぎると乾燥がより進行し、薄毛を招くことがあります。

刺激をおさえ、うるおいを残しながら洗髪できる湯シャンは、敏感肌の人や乾燥肌の人にはおすすめです。

向いていない人

湯シャンが向いていない人は次のような人です。

スタイリング剤を日常的に使う人

整髪料は基本的に油性で、湯シャンで落とすのは難しいです。残った整髪料の汚れが毛穴を塞ぐと、薄毛を招きます。

スタイリング剤を使っている人は湯シャンがはげる原因になりえるわけです。

脂性肌の人

皮脂が多い人はシャンプーを使わないと余分な皮脂汚れを落とせず、薄毛のリスクが高まります。とはいえ、皮脂が多いのか自分では分からないかもしれません。

迷ったら試しに週1回のペースではじめてみて、合っているようなら徐々に頻度を高めていくとよいでしょう。

髪の傷みが気になる人

シャンプーには、キューティクルの傷みを補修する成分が含まれているものもあります。

髪が傷んでいる場合、シャンプーを使うことでハリやうるおいが戻ることもありますが、湯シャンだとその恩恵を受けられません。

髪の傷みが気になる人も湯シャンは向かないということになります。

湯シャンについてのQ&A

湯シャンの適切なタイミングとは?

夜が望ましいでしょう。

一日の終わりには汚れや汗、ほこりが頭皮や髪についています。夜洗髪しないと不衛生な状態のまま眠ることになります。寝具にも汚れが付着し頭皮環境が悪化する可能性があります。

湯シャンは週何回すればいい

はじめのうちは週1回、最終的には週2~3回がおすすめです。

湯シャンの経験がない場合、最初のうちは汚れを落とすのが難しいかもしれません。まずは週1回のペースではじめて、湯シャンのメリットを感じられるようなら徐々に頻度を高めていくのがおすすめです。

ただし毎日湯シャンをすると、デメリットが大きくなります。多くても2日に1回のペースにとどめるのがベターでしょう。汗をかいた日はシャンプーを使うなど、臨機応変にしてもよいかもしれません。

湯シャン後のトリートメントは問題ない?

問題ありません。

湯シャンだけだと髪がきしみやすくなってしまいます。トリートメントで保護するのがおすすめです。

また濡れた状態の髪はキューティクルが開いています。なにもつけないとパサつきやうねり、傷みにつながりかねません。

ただし頭皮につかないように注意してください。

湯シャンで髪が増えることはあるの?

基本的にはありません。

湯シャン、つまりシャンプーを使わない洗髪方法で髪が増えることはありません。

湯シャンが生まれた背景には「シャンプーの成分が身体に害を与える」という一部の誤った知識もありますが、そもそもシャンプーとして市場に出回っているものは原則安全です。医薬品医療機器等法で、人体に悪影響を及ぼすものは化粧品(薬用化粧品)の原料に配合してはならない旨が定められています。

もちろん肌に合わないシャンプーを使い続けた結果として、抜け毛が増えることはあるでしょう。

しかしシャンプーをやめれば、すなわち湯シャンをすれば髪が増えることは基本的にはありません。