近年、女性の薄毛についてメディアで取り上げられるケースが増えてきました。女性の薄毛改善に有効な手段のひとつが、発毛剤を使うことです。しかし薄毛ケアアイテムには発毛剤以外にも種類があり、また商品もさまざまなものが販売されています。そこで今回は女性向け発毛剤の選び方や育毛剤、養毛剤との違い、女性が発毛剤を使うにあたり必ず知っておかなければならない注意点などについて解説していきます。発毛剤に含まれる主な成分についても紹介していますので参考にしてください。
発毛剤とは？
発毛剤とは毛母細胞に働きかけ、発毛を促進する医薬品です。
発毛成分のミノキシジルが含まれ、髪の毛を新たに生やしたり髪の毛の成長期を伸ばしたりする効果があります。
発毛剤と育毛剤、養毛剤の違い
薄毛ケアアイテムには発毛剤のほかに育毛剤、養毛剤があります。しかし外観からは区別がつきにくく、商品を選ぶ際に迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
そこで、薄毛ケアアイテムの違いやそれぞれの特徴、購入時の見分け方についてみていきましょう。
発毛剤
発毛剤は有効成分が直接毛母細胞に作用するものです。
発毛作用があり、薄毛の改善が見込めます。通常、医薬品医療機器等法上の分類は「医薬品」です。
育毛剤
育毛剤は有効成分により、頭皮環境を髪の毛が育ちやすい状態に整えるものです。
発毛剤には発毛効果があるのに対して育毛剤には発毛作用はなく、期待できるのはあくまでも髪の毛を健康的に育てる効果にとどまります。
通常、医薬品医療機器等法上の分類は「医薬部外品」です。
ただし薬用育毛剤は医薬品の分類になります。
女性用の育毛剤の基礎知識についてはこちらをご覧ください。
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養毛剤
養毛剤は髪の毛と頭皮に栄養を与えることにより、コンディションを整えるものです。
発毛作用はありません。
通常、医療機器等法上「化粧品」に分類されます。
ただし、承認された有効成分が含まれるものは医薬部外品の分類になります。
医薬品・医薬部外品・化粧品の違いや見分け方
医薬品と医薬部外品、化粧品の違いや見分け方は以下のとおりです。
医薬品
医薬品は厚生労働省などから有効成分の効果の承認を受けたものです。
治療を目的に使用され、厳しい試験・審査を通過したものだけが医薬品として販売することを認められます。
ヘアケア製品のなかでは発毛剤（発毛促進剤）が該当し、「薬用」または「医薬品」もしくは「薬用育毛剤」の記載があります。
一部の医薬品はドラッグストアや通販で入手可能です。
医薬部外品
医薬部外品は厚生労働省に承認を受けた有効成分が一定の量配合されたものです。
医薬品にくらべて効果が緩やかで、主に予防・衛生を目的に使用されます。
ヘアケア製品のなかでは育毛剤と一部の養毛剤が該当し、「医薬部外品」または「薬用化粧品」の記載があります。
医薬部外品はドラッグストアや通販で入手可能です。
化粧品
化粧品は人の身体を清潔にしたり美しく健康的にしたりする目的で、塗布散布、またはこれに近い方法で使用するものです。医薬部外品よりもさらに効果は緩やかで、基本的に効果効能は承認されていません。
ヘアケア製品のなかでは養毛剤が該当し「化粧品」または「一般化粧品」の記載があります。
化粧品はドラッグストアや通販で入手可能です。
発毛剤に含まれる主な成分
続いて発毛剤に含まれる主な成分について紹介します。
ミノキシジル
ミノキシジルは厚生労働省に発毛効果が唯一認められている医薬品成分です。
血管拡張作用を持ち、毛母細胞の細胞分裂を活性化することで発毛を促進します。
多毛症や動悸、めまいや頭痛などの副作用が現れることがあります。
ミノキシジルについてはこちらをご覧ください。
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ピディオキシジル
ピディオキシジルは毛母細胞の働きにかかわるといわれる化粧品成分です。
分子構造・作用のメカニズムともにミノキシジルと類似していて「ミノキシジル誘導体」とも呼ばれます。
化粧品成分であるため副作用はありませんが、効果も緩やかなのが特徴です。
リデンシル
リデンシルはスイスの化粧品原料メーカー「インデュケム社」が開発した化粧品成分です。毛乳頭の働きにかかわり、ヘアサイクルをサポートすると考えられています。
主成分はセイヨウアカマツ球果エキス・茶葉エキス亜鉛・グリシンなどです。
化粧品成分であるため、副作用はありません。
塩化カルプロニウム
塩化カルプロニウムは毛乳頭細胞の活性化作用や血管拡張作用により発毛を促す医薬品成分です。
副作用として発汗、悪寒、吐気、刺激痛、熱感などが報告されています。
センブリエキス
センブリエキスはセンブリと呼ばれるリンドウ科の二年草から水とエタノールなどで抽出して得られる植物エキスです。センブリの名称は千回煎じても苦味が残ることに由来するとされています。
局所刺激による血管拡張作用や毛乳頭細胞の活性化作用があります。
一般的には安全性の問題はないとされていますが、稀に軽度の炎症をおこすことがあります。
女性が発毛剤を選ぶときの基準
ひとまとめに発毛剤といってもさまざまな商品があります。初めての場合、どれを購入すればいいか迷ってしまうこともあるかもしれません。そこで次に、女性が発毛剤を選ぶときの基準について紹介していきます。
女性用のものを選ぶ
発毛剤は男性向けに作られているものが多いです。
女性が男性用の発毛剤を使うと思わぬ重篤な健康被害が生じることもあります。必ず女性は女性用のものを選びましょう。
配合成分で選ぶ
通常、発毛剤には発毛成分以外の成分も含まれています。配合成分による副次的な効果が期待できる場合もあるため、成分をチェックすることも重要です。
発毛剤に配合されることが多い成分には以下のようなものがあります。
- 抗炎症成分……グリチルリチン酸ジカリウム、オウゴンエキスなど
- 保湿成分……ヒアルロン酸、コラーゲン、セラミドなど
- 栄養成分……トコフェロール酢酸エステル（ビタミンE）亜鉛など
たとえば頭皮が乾燥している場合、保湿成分のヒアルロン酸やグリシンが含まれる発毛剤を、頭皮が荒れている場合や炎症をおこしている場合、抗炎症成分のグリチルリチン酸ジカリウム配合のものを選ぶとよいでしょう。
価格で選ぶ
発毛剤には発毛効果が承認されたミノキシジルが含まれています。
しかしミノキシジルの有効性が確認されているのは4カ月継続使用後からです。
つまり発毛剤は医薬品ですが即効性がありません。そのため継続できる価格帯のものを選ぶことが重要です。
女性が発毛剤を使用するときの注意点
発毛剤は医薬品であるだけに、人体への作用も大きいです。それゆえ、特に女性が発毛剤を使用する際には注意しなければならない点があります。
妊娠中または授乳中は使用しない
発毛剤に含まれるミノキシジルには強い血管拡張作用があります。そのため心臓に負担がかかり、妊娠中に使用すれば、胎児に影響が出るリスクがあります。妊娠中、特に妊娠後期は発毛剤を使用しないようにしましょう。
またミノキシジルは母乳に移行するため、授乳中も使用は避ける必要があります。
頭皮トラブルのある場合は使用を控える
かゆみやかぶれ、炎症など頭皮トラブルがある場合は使用を控えましょう。
発毛剤に含まれる成分が刺激となり、症状が悪化する場合があります。
持病がある場合事前に医師に相談する
発毛剤には強い成分が含まれるため、持病がある方が使用すると症状が悪化するリスクがあります。
たとえば発毛剤に通常含まれる血流促進成分は心臓に負担をかけます。
高血圧の方が発毛剤を使うと症状が進行する可能性があるわけです。持病がある方は事前に医師に相談しましょう。
発毛剤に関するQ&A
最後に発毛剤に関してよくある疑問にQ&A形式でお答えします。
発毛剤と育毛剤の併用は控えるべきでしょう。
そもそも発毛剤は単独の使用で効果が現れるように成分が調整されています。
発毛剤と育毛剤を併用すると、相互作用で効果が落ちることがあるのです。
また副作用リスクも高まります。
同様の理由から、別の発毛剤との併用も避けるべきでしょう。
処方してもらうのがおすすめです。
発毛剤はドラッグストアや通信販売でも入手できます。
しかし発毛剤は医薬品です。効果が強く、体調や体質によって不調をきたす可能性もあります。安心して使用するためにも、クリニックで処方してもらうのがおすすめです。
特に持病がある場合や服用している薬がある場合、必ず処方された発毛剤を使いましょう。
朝と晩の2回がおすすめです。
朝は起き抜けがおすすめです。整髪料をつける前のタイミングに使用することで頭皮にしっかりと塗布できます。
夜は入浴後が適しているでしょう。清潔で血行もよい状態の頭皮に発毛剤を使用することで、効果アップが期待できます。