【医師監修】パントガール期待にできる効果とは?副作用や注意点も解説

近年、女性の薄毛悩みについて取りあげられることが増えてきました。しかしさまざまな薄毛対策を試したものの、効果を感じられなかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。女性の薄毛改善に有効な手段のひとつが、女性用の薄毛治療薬「パントガール」の活用です。今回はパントガールに期待できる効果を解説します。副作用や注意点についても紹介しますので、参考にしてください。

パントガールとは?

パントガールとは?

パントガールとは女性の薄毛への効果が世界で初めて認められた育毛剤です。

ドイツの製薬会社により開発された医薬品で、女性の薄毛や抜け毛を、細胞代謝を通して改善します。

パントガールは有効成分のほとんどが栄養素である点で、一般的な医薬品とは異なります。

とはいえ、その栄養素のバランスは毛根の活性化や発毛促進に効果が出るように調整されている(栄養成分処方)ため単なる育毛サプリとも別物と考えてよいでしょう。

またパントガールは国内未承認の薬であり保険適用外です。そのためクリニックで処方してもらう場合1カ月分(90カプセル)7,500~13,500円程度と、費用は若干かさみます。

パントガールの女性の薄毛への効果とは?

ではパントガールの女性の薄毛への効果は具体的にどのようなものなのでしょうか。

パントガールには以下のような効果が期待できます。

  • びまん性脱毛症への効果
  • 脱毛減少
  • 髪の質や抵抗力の改善

パントガールはびまん性脱毛症の改善に効果が確認されている医薬品です。

細胞代謝を通じてアミノ酸、ビタミン、タンパク質などの髪の毛に必要な栄養を毛髪に届けることで発毛促進効果や脱毛減少効果も期待できます。

ストレスによってやせ細った髪やハリを失った髪、もろくなった髪を改善する効果も見込めます。

びまん性脱毛症とは

びまん性脱毛症は頭皮全体が薄くなる脱毛症です。

女性にみられることが多く、詳しい原因やメカニズムは判明していません。

びまん性脱毛症の症状には以下のようなものがあります。

  • 地肌が目立つ
  • 髪にコシがなくなる
  • 髪の毛が細くなるなど

パントガールに含まれる成分

パントガールの成分

パントガールに含まれる成分について代表的なものを紹介します。

L-システイン(シスチン)

L-システイン(シスチン)はタンパク質を構成するアミノ酸で、以下のような効果が期待できます。

  • 肌の代謝(ターンオーバー)のサイクルの正常化
  • 体の代謝促進作用
  • 抗酸化作用

肌の代謝(ターンオーバー)のサイクルを正常化する働きもあることから、頭皮環境の改善も期待できます。またエネルギー産生をサポートする働きもあるため、エネルギー不足による倦怠感の改善も見込めるでしょう。

ケラチン

ケラチンは髪の毛を構成する成分で、以下のような効果が期待できます。

  • 髪の毛の弾力を保つ
  • 髪の毛のハリ・コシを保つなど

ケラチンには髪の毛の弾力をキープする働きがあり、髪の毛が強く健康的に育つために重要な役割を担います。

髪の毛のハリやコシにもかかわっていて、不足すれば枝毛や切れ毛が増えたりする原因になります。

ケラチンの合成には亜鉛やビタミンCが欠かせません。

ケラチンについてはこちらをご覧ください。

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パントテン酸カルシウム

パントテン酸カルシウムはパントテン酸にカルシウム塩が付加した成分です。パントテン酸の”パン(pan)”は「いたるところ」を意味するギリシア語に由来するとされています。

パントテン酸カルシウムには期待できるのは以下のような働きです。

  • 副腎皮質ホルモンの合成を助ける
  • 皮膚の健康を保つ
  • 脂質、糖質、タンパク質を代謝する
  • ケラチンの生成を促すなど

パントテン酸カルシウムは体内で補酵素として働き、脂質、糖質、タンパク質の代謝にかかわります。

ほかのビタミンと協力し、副腎皮質ホルモンの合成や、皮膚の健康維持に資する栄養素としても知られています。

ビタミンB5とも呼ばれ、食品添加物に用いられることも多いです。そのほかパントテン酸カルシウムにはビタミンCの働きを強化することにより、ケラチンの生成を促す作用もあります。

熱や酸、アルカリに弱いのも特徴です。

ビタミンB1

ビタミンB1は皮膚や髪の健康にかかわる水溶性のビタミンで、チアミンとも呼ばれます。

ビタミンB1には以下のような働きが期待できます。

  • エネルギー産生をサポートする
  • 神経や末梢神経系を正常に保つなど

ビタミンB1には、皮脂分泌を正常に保つ作用があることから、頭皮環境を整える効果が見込めます。

「美容のビタミン」とも呼ばれ、皮膚や粘膜の健康維持にも重要な役割を果たすと考えらえています。

パントガールの副作用・注意事項

パントガールの副作用・注意事項

髪の毛に対する効果が期待できるパントガールですが、気になるのが、副作用ではないでしょうか。次にパントガールの副作用や摂取上の注意事項をみていきましょう。

副作用

パントガールには軽度の副作用として、以下の症状が報告されています。

  • めまい
  • 吐き気
  • 蕁麻疹
  • 頭痛
  • 頻脈
  • 下痢

パントガールは含有成分のほとんどが栄養素です。そのため重篤な副作用は現時点(2022年8月現在)では報告されていません。ただ過敏症の既往がある場合、血圧低下や意識障害などをおこす恐れがあります。

成分に対する過敏症がない場合、過度な心配は不要といえるでしょう。

注意すべきこと

  • 子ども、妊娠初期の服用

パントガールは十分な臨床試験が実施されておらず12歳未満の子どもに対する安全性が確認されていません。

妊娠中の服用については必ずしも不可とはされていませんが、妊娠中期に入ってから使用することが大切です。

パントガールについてのQ&A

最後にパントガールについてよくある疑問についてQ&A形式で解説していきます。

パントガールはどうやって購入するのがいいの?

クリニックで処方してもらうのがおすすめです。

パントガールは通信購入でも入手そのものは可能です。ただし通信購入の場合、さまざまなリスクがともないます。

偽物が販売されていたり、商品が届かなかったりすることも少なくありません。特に海外のサイトから購入する場合、品質や衛生面の不安もあります。
クリニックで処方してもらうのがベストでしょう。

パントガールにジェネリックってあるの?

パントガールにジェネリック薬はありません。

ジェネリックは「後発医薬品」といって、承認された医薬品(先発医薬品)の特許が切れてからでないと、製造できない決まりになっています。

パントガールはそもそも国内未承認薬なので当然ジェネリック薬も存在しません。
ジェネリックをうたった安価なパントガールが販売されていることもありますが、すべて偽物ということになります。

パントガールの効果を実感できるまでどのくらいかかるの?

3ヵ月程度は継続が必要でしょう。

パントガールの効果は一朝一夕には現れません。

びまん性脱毛症患者を対象に実施されたある臨床試験では1回1カプセル1日3回継続して摂取3ヵ月後に脱毛本数の減少が確認されています。

パントガールで体毛が濃くなることはあるの?

パントガールには体毛に対する働きかけはありません。

同じ育毛剤でも、ミノキシジルでは副作用として頭部以外の毛が増えたり、濃くなったりすることがあります。しかしパントガールは毛髪に対してのみ作用する薬です。体毛には影響しません。

ミノキシジルについてはこちらをご覧ください。

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パントガールの服薬量を増やしてもいい?

服薬量を守ることが大切です。

パントガールの臨床試験では1日3カプセルの服用で効果が実証されています。服薬量を守るようにしましょう。