【医師監修】白髪はなぜ生えるのか?6つの原因と対策方法を解説

白髪を見つけると、憂うつな気持ちになってしまう人もいるかもしれません。しかし「白髪は老化現象だから仕方がない」と諦めていませんか?実は白髪の原因は加齢だけではありません。今回は白髪の原因や対策方法を紹介します。「白髪は抜くと増えるのか」「一度白髪になると黒髪はもう生えてこないのか」など白髪に関してよくある疑問についても解説していますので参考にしてください。

白髪が生えるメカニズムとは

髪の毛は毛包で作られますが、実は作られた時点では髪の毛は白色をしています。

表皮と真皮の境目にはメラノサイトと呼ばれる細胞が存在し、メラニン色素を作っています。髪の毛は成長の過程でメラニン色素を吸収し黒くなっていくのです。

メラノサイトでは、アミノ酸の一種である「チロシン」をもとに、体内酵素の「チロシナーゼ」などの働きによってメラニンが合成されます。

なんらかの理由でメラノサイトの機能低下や、チロシナーゼの減少がおきるとメラニン色素が作られなくなり白髪になってしまうわけです。

白髪が生える6つの原因

白髪が生える6つの原因

では白髪はなぜ生えるのでしょうか。現時点で白髪の原因と考えられているもののうち6つを紹介します。

原因①遺伝や生まれつき

髪の毛の質や太さは遺伝するといわれますが、白髪も遺伝的要素が大きいと考えられています。

遺伝的にメラノサイトの機能が低かったりチロシナーゼが少なかったりするとメラニンをうまく作れず、白髪になりやすくなってしまいます。

特に若白髪は遺伝による影響が強いとされています。遺伝による白髪の場合、根本的な改善は難しいかもしれません。

原因②偏りのある食生活

栄養状態が悪いとメラノサイトに栄養が行き届かず、メラニン色素が作れなくなり白髪が生えるリスクが高まります。

栄養を届けるためには血行が重要ですが、食生活の乱れは血行不良の一因となるでしょう。

たとえば脂質に偏った食生活を続けていると血流悪化のリスクが高まります。

またアルコールの過剰摂取は肝機能の低下を招きます。

コレステロールを体外へ排出する役割を持つ肝臓の機能が低下すると血中のコレステロール値が高まり、血流が滞ります。

過度な食事制限によるダイエットも白髪の原因になりかねません。

原因③ストレス

苦労すると白髪が増えるといわれますが、ストレスも白髪の要因と考えられています。

ストレスを感じると交感神経が興奮し、ノルアドレナリンが分泌されます。

ノルアドレナリンはメラノサイト幹細胞を枯渇させることが判明しています。

フランス革命中にマリー・アントワネットが一夜で白髪になったというエピソードを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

ある研究では急性ストレスにより、交感神経系が過剰に活性化することでノルアドレナリンが大量に放出されることが言われています。

慢性的なストレスは白髪のリスクを高めるのです。

原因④病気

病気の症状として白髪が現れるケースもあります。

巨赤芽球性貧血

たとえばビタミンB12や葉酸の欠乏により発症すると考えられている巨赤芽球性貧血では白髪の症状が現れることもあります。

血液を作る際には、ビタミンB12や葉酸が必要になります。

ビタミンB12と葉酸のいずれかが不足すると、造血機能に影響が生じ、貧血を発症することがあります。これが巨赤芽球性貧血です。

巨赤芽球性貧血ではDNA合成障害が起こることがあります。

DNA合成障害が長期に及ぶと知覚障害や精神運動発達の遅滞、若年者の白髪などの症状が現れるケースがあります。

尋常性白斑

尋常性白斑は後天的に色素細胞が減少する病気です。頭皮に発症した場合白髪になります。尋常性白斑の発症メカニズムは解明されていません。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺の機能が低下し甲状腺ホルモンの分泌量が減少する疾患です。

甲状腺ホルモンの分泌量が減少すると代謝が落ちます。するとメラノサイトを含む全身の臓器が正常に働かなくなり、白髪のリスクが高まるわけです。

腎不全

腎臓は血液をろ過して不要な老廃物を排出し、尿として体外排出する役割を担っています。

肝機能が低下すれば、老廃物が排出できなくなり、全身の臓器の機能も低下します。メラノサイトがうまく働かなくなると、白髪を招く可能性があるのです。

原因⑤加齢

年とともに臓器の機能は衰えていくものです。

加齢にともないメラノサイトの働きも低下し、白髪が生えるリスクが高まります。

一般的には30代後半ころから白髪が増えるとされていますが、人によっては10代後半ころから白髪が生えてくることもあります。

若白髪は遺伝によるところが大きいといわれていますが、遺伝的因子がなくてもそのほかの因子(栄養不良や睡眠不足など)があれば、若くても白髪が生えるケースはあります。

特にスマートフォンを長時間使用している方やデスクワーク中心の方は眼精疲労による血行不良に注意が必要です。

原因⑥紫外線

紫外線ダメージは髪の毛や頭皮におよびます。

紫外線のなかでも波長が長く、肌の奥深くまで到達するUVAはメラノサイトにダメージを及ぼします。傷ついたメラノサイトはメラニン色素をうまく作れなくなり白髪になるリスクが高まるわけです。

今日から始められる白髪の対策方法を紹介

今日から始められる白髪の対策方法を紹介

白髪の原因と考えられているチロシナーゼの減少やメラノサイトの機能低下がなぜ起こるのか、現時点では未解明です。

そのため、白髪を完全に予防することはできません。

また加齢や遺伝による白髪も現段階では有効な手立てはなく、改善することは難しいといえるでしょう。

しかし対策が可能なものもあります。以下では今日から始められる白髪対策について紹介します。

食生活を改善する

栄養不良が原因の場合、食生活を改善することが白髪改善に寄与する可能性はあります。

暴飲暴食は避け、バランスのとれた食生活を意識しましょう。

特にチロシンに必要なタンパク質やビタミンBは白髪ケアに有用といえます。

ミネラル類も大切です。

亜鉛はメラニンの生成をサポートする効果が、アルギン酸には髪の毛を保護する役割があるといわれています。

また銅はチロシナーゼの、カルシウムはメラノサイトの機能にそれぞれ関係しているとされています。

そのほか鉄分は血液の生成に必要です。月経のある女性は鉄分が不足しがちなため、積極的な摂取が望まれます。

普段の食事からの摂取が難しい場合、サプリメントで補給するのも手段です。

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頭皮マッサージで血行促進する

白髪によい栄養を摂取しても、血流が悪いと行き届きません。そこで頭皮マッサージで血行促進するのもおすすめです。

継続してマッサージすることで頭皮環境の改善も見込めます。

ただし頭皮マッサージにはコツがあり、やり方によっては逆効果になることもあるため注意しましょう。

運動や趣味などでストレスを解消する

ストレスをため込まないことも大切です。

自分の時間を確保し、趣味や好きなことでストレスを発散しましょう。

おすすめは運動です。

ただ屋外で運動する場合、紫外線対策を忘れないようにしなければなりません。

また、運動はほどほどのところで切り上げるのがポイントです。やりすぎるとかえってストレスになることもあります。

生活習慣を改善して睡眠の質を高める

生活習慣のなかでも意識して取り組みたいのが、睡眠の質の向上です。

睡眠の質が悪いと自律神経が乱れ、ストレスや血流悪化を招きます。結果としてメラノサイトの機能低下を招き、白髪リスクも高まると考えられます。

睡眠の質を高めるには、たとえば以下を意識するとよいでしょう。

  • 就寝前にカフェインを摂取しない
  • 毎日定時に寝起きする
  • 布団のなかでスマートフォンをしないなど

白髪に関するQ&A

最後に白髪に関してよくある疑問にQ&A形式で回答していきます。

一度白髪になると黒髪はもう生えてこないの?

白髪の原因によっては再び黒髪が生えてくることもあります。

白髪の原因はさまざまです。白髪になっても原因を取り除くことで再度黒髪が生えてくることもあります。たとえば栄養不良が原因でメラニン色素が作られず白髪になった場合、栄養状態を改善することでメラニン色素が作られるようになり再び黒髪が生えてくる可能性もあります。

白髪を抜いたら増えるって本当?

白髪を抜いても増えませんが頭皮が傷つくのでやめましょう。

白髪を抜くことが直接増える原因にはなりません。しかし無理やり髪の毛を引き抜くことにより毛穴や毛根が傷つくことはあります。薄毛など別のトラブルにつながりかねないので、やめておくのが賢明でしょう。

白髪を隠すおすすめの方法は?

ヘアマニキュアや帽子がおすすめです。

白髪隠しのアイテムにもさまざまなものがあります。代表的なものは白髪染め(ヘアカラー)でしょう。しかしヘアカラーによっては強いアルカリ性の薬剤を使用するため、頭皮にかかる負担が大きくなる可能性もあります。その点を考慮するのであれば、頭皮への負担が比較的小さいヘアマニキュアや、帽子などがおすすめです。

白髪は一度生えたら増え続けるの?

加齢による白髪は、年とともに増えるのが通常です。

しかし、お伝えしているとおり白髪の原因は加齢だけではありません。たとえば不摂生や睡眠不足が原因の場合、一度白髪になっても生活習慣を改善することでまた黒髪が生えてくる可能性はあります。